敦賀原発の下に活断層と判定
今日の朝刊は、敦賀原発活断層の記事で持ちきりでした。地震大国のこのくにに、54基もの原発をつくってしまいました。活断層などはもう、そこらじゅうにあるわけです。もともと原発建設に“向いていない”エリアなのです。そして事故を起こしてしまい、放射能にまみれた土地を次世代へ渡さなくてはならなくなってしまいました。その責任をどうしたら償えるのでしょうか。答えは決まっています。原発を止めること、そして一日でも早く廃炉へ持っていくことです。それ以外にはありません。もはやいいか悪いかを論じるなど、“季節外れの盆踊り”を踊っている時ではないのです。
にもかかわらず、衆院選、そして都知事選では、原発再稼働をもくろむ、自民党、公明党、維新の会が過半数を制するのではという下馬評が出ています。それだではなく、憲法改正、核武装、国軍の建設までをいう連中が勢いづいています。
▶敦賀原発:新たなずれ クロ判定
【問題となった「D-1破砕帯」について、原子力規制委員会の有識者会合は10日、すぐ近くを走る活断層の浦底断層と同時に活動すると認定し、この破砕帯を初めて活断層と「クロ判定」】
【浦底断層を含め活断層であることが見過ごされてきた背景には、過小評価を繰り返してきた電力事業者の体質】
当然、【原電は、活断層との見方について見解を留保】とのことですが、【規制委の判断を覆すのは難しそうだ】と毎日新聞。しかし、安倍自民党政権になったら、元の木阿弥になるか? 正式決定までは油断できません。どんなウルトラCを考えているかわかったものじゃありません。そのために日ごろから“優秀な”人材を確保しているのでしょうから。
▶福井・敦賀原発:廃炉不可避 規制委調査団、2号機「直下活断層」 田中委員長「安全審査できず」
【「十数万年前より最近に動いた」との見解で一致した。さらに浦底断層と連動して動く可能性が高いと判定。その上で、このずれをD-1破砕帯の一部ととらえ、「活断層の可能性が高い」と判断】
その結果、
【規制委の田中俊一委員長は「今のままでは再稼働に向けた安全審査はとてもできない」と述べ、再稼働は極めて困難】と会見。
▶<敦賀原発>規制委 廃炉に法の壁
【今回の判断は、「世界最高の安全規制」を目指す規制委にとって存在感を示した格好だが、現行法では事業者に運転停止や廃炉などを命じる法的権限はない。規制委事務局の原子力規制庁幹部も、委員長発言について「田中氏個人の感想」との見解を示しており、廃炉の判断は原電自身に委ねられる】
【しかし、「急迫した危険」の法解釈について、規制庁は「ミサイル攻撃や人工衛星の落下、火山の噴火など、明確に危険が予見できる場合」との見解だ。活断層の活動は1000年単位で起こるとされ、活断層を「急迫」と認定するのは困難とみている。さらに、国の手引も、建設時の許認可を念頭にしており、すでに建設されているものについては強制力はない】
【それでも、来年7月には、規制委設置法に基づき、既存原発にも最新の安全対策を課す「バックフィット制度」の運用が始まり、その延長で、活断層の影響があると認められた原発の運転を停止できるようになる】
【田中委員長はこれまでの会見で「(活断層の可能性で)クロや濃いグレーなら運転停止を求める」と述べており、活断層と判断された場合は廃炉が不可避になるとの見方を示唆】
▶敦賀原発直下「活断層の可能性」 再稼働極めて困難、廃炉も
【評価会合での見解に対し、原電は「変動地形学的な見地からの可能性のみに基づいた見解で、到底受け入れがたい」とするコメントを発表。追加調査を進めて安全性を実証する意向】
【地元の河瀬一治敦賀市長は記者団に対し「非常に厳しい審査」と述べる一方、規制委による最終結論を注視する姿勢を示した。西川知事は「国として、十分な科学的根拠に基づき、立地地域と県民が理解し、納得できるような調査とすべきだ」とのコメント】
福井県の西川知事、「立地地域と県民が理解し、納得できるような調査」をなどと言っていますが、冗談じゃありません。オタクたちが「理解」し、「納得」したからと言ってそれで済む問題ではないのです。いまだにその感覚でやろうとしているところに、福島第一原発事故から学ぼうという姿勢のひとっかけらもないことがわかります。要は、カネを独り占めしていきたいということの裏返しなのです。
▶敦賀原発:「クロ」判断、他の原発にも影響
【計6施設が対象になっている。いずれも経済産業省原子力安全・保安院(当時)が全国の原発を再点検した結果、敷地内の破砕帯が活断層である可能性を否定できなかったものだ。今回、規制委が敦賀原発2号機に事実上の「クロ」の判断を示したことは、今後の調査に大きな影響を与えそうだ】
これとて、安倍自民党政権になったらどうなるかわかったものじゃありません。公明党では「電力安定供給」のためと言って原発再稼働に賛成する候補者が、自民党の85%を抑え、なんと97%にも上っているのです。
----------------------------------------------------------------------
▶福井・敦賀原発:断層調査 電力需給、見直し必至 大飯の検証結果次第で
【経済産業省は改めて電力需給計画や廃炉費用の負担方法の見直しを迫られることになる。活断層の調査を事実上、電力会社任せにしてきたツケが今、噴き出そうとしている】
【敦賀原発自体は福島第1原発事故後、止まったままなので、廃炉になったとしても当面の電力需給に深刻な影響はない。ただ、原子力規制委員会は、再稼働にこぎつけた関西電力大飯原発(福井県)内の断層も検証している】
【断層は原発の取水路をまたいでおり、活断層と判断されれば取水路を変更する工事が完了するまで原発を止める必要がある。大飯まで停止する事態になれば、来年夏の関電管内の電力の安定供給にも支障をきたす恐れが出てくる】
【また、電気事業法は、廃炉に必要な費用を、運転開始から40年間で積み立てるよう定める。敦賀2号機は運転開始から25年たち、235億円の積み立て不足が残る】
【経産省幹部は「税金で負担する根拠はなく、原電に出資する各電力会社の値上げで対応できるかどうか検討しないといけない」と、値上げの可能性を示唆】
つくったものは、いつかは壊れるということすら考えようともせず、これまでも儲けは自分たちで山分けし、俺が生きているうちは何もないだろうと高枕で過ごしていたのでしょう。しかし、そうもいかなくなったのです。むろん、ただでは起きません。廃炉費用は、電気代に上乗せすればいいと、当初から考えていたに違いないのです。
▶福井・敦賀原発:廃炉不可避 識者の話
遠田晋次・東北大教授(地震地質学) 問題の地層のずれが2号機の真下を通っているというのはまだ推定だ。もう少し他の調査もして、総合的に判断してもよかったのではないか。こんなに簡単に結論を出してよいのか疑問
入倉孝次郎・京都大名誉教授(強震動地震学) 手引で決めた通りの判断で、当然の処置
河田恵昭・関西大教授(巨大災害) (敦賀原発の活断層は)恣意(しい)的に隠していたというより、研究者のポテンシャルが上がり昔分からなかったものが分かるようになった成果と言えるのではないか
▶敦賀原発:専門家調査団は学会推薦の5人
【Q 人選の仕方は?
A 規制委の前身である旧経済産業省原子力安全・保安院は原発を推進する経産省の一部局で、省庁主導で選ばれた有識者には「安全審査が甘い」との批判もあった。これは昨年3月の東京電力福島第1原発事故の一因とされている。規制委は、審査を厳格で中立的にしようと、日本地震学会、日本活断層学会、日本地質学会、日本第四紀(だいよんき)学会の4団体に専門家の推薦を依頼し、24人の候補が挙げられた。この中から、過去に審査に関わった人は除外され、辞退者もあり、結果的に16人が選ばれた】
▶福井・敦賀原発:廃炉不可避 今後どうすれば 雇用は、生活は… 誘致50年、地元募る不安
【原電によると、敦賀原発は運転中で1000~1500人、定期検査になれば約3000人の下請け労働者を抱える。同原発関連の取引があった同市の作業資材会社の小森英宗会長(64)は「原発は地元の基幹産業であり、地場産業。多くの産業がぶら下がっている。地元経済ががたっと落ちて、夕張みたいになってしまう」と訴えた】
夕張みたいにと、例が出ましたが、過去を振り返ってみれば、エネルギー転換だ、石炭から石油だという1960年代に起きたことを思い起こせば、いつの時代もそういうことはあったのです。いや、「陸蒸気」が西洋から入ってきたときは、それまでの馬車屋さん、カゴ屋さんたちが失業していった歴史もあるのです。そうした歴史を少なくとも現代に生きる私たちは知っていたのですから。一つのものに依存することの怖さを。農業・作物でもそうでしょう、例はいくらでもあったのです。しかし、そこから先は人間の性というものかもしれません。しかし、ツケと言ってしまうのは、今を生きるものとして責任をも感じなければなりません。
▶敦賀原発:株主の中部電、経営に打撃も
【敦賀原発2号機の廃炉が不可避となったことで、日本原電の第3位株主(発行済み株式の15.12%を保有)である中部電力の経営にも打撃を及ぼす可能性】
これとて、上記の記事と同様、何もしてこなかったことのツケです。
----------------------------------------------------------------------
▶福島第1原発事故 大熊町、96%帰還困難区域に 「ダムの底と同じ」 地域再生なお見通せず
【大半の町民にとって帰還は現実味に乏しい。30年間汚染土壌を保管する「中間貯蔵施設」の候補地6カ所は帰還困難区域にある。江戸時代から続く農家で、会津若松市の仮設住宅に夫(72)らと避難する根本友子さん(65)は「再編されても帰れるとは思えない。町がダムの底に沈んでいるのと同じ」と語る】
気持ちはわかります。しかし、ダムと原発は根本的に違うものだという認識は必要です。原発事故の被害は、そこに住む人たちだけでは済まないものだということを、多くの人は知ったのです。
▶福島原発:下請け8社が偽装請負
【8社の県別内訳は青森4社▽福島2社▽愛媛1社▽福岡1社。発注元の東電と元請けのグループ会社「東京エネシス」には既に改善要請を行っている】
こんなことは、何も驚くことではなく、当然そういう状況だということがわかりきっています。事故処理だけではありません。こうした労働がないと原発は動かすことができないのです。
▶汚染土仮置き場:埼玉・三郷市が着工
【市は計画を近隣住民や議会には説明していたが広く公表していなかった】
【秋本進三郷市企画総務部参事は「国の最終処分場が決まるまで仮置き場を建設することにした。5戸の近隣住民に説明し、6月には市議会側にも知らせた」と】
この記事を読んで、近隣というから、ふ~む~と読み進めると、何と説明したのは5戸と。5戸しかないところを選んだのでしょう。
----------------------------------------------------------------------
衆院選と原発、そして憲法改正
▶石原氏 自民と協力し改憲 拉致問題「戦争する、で解決」
【石原氏は北朝鮮による日本人拉致問題に触れ「二百人以上の日本人が拉致され、殺された証拠があったのに、九条のせいで日本は強い姿勢で北朝鮮に臨むことができなかった。九条が自分たちの同胞を見殺しにした」と現行憲法を批判。「あんなモノがなければ(拉致被害者を)返してくれなかったら『戦争するぞ』『攻めていくぞ』という姿勢で同胞を取り戻せた」と】
威勢だけは、年老いてもいいです。戦争ですか、本気でこの人は思っているのです。妄想の世界のなかで。本気でそう思っていたのなら、息子が4人もいるそうですから、お国の為と言ってお国に奉公させるのだと言って、4人の息子を「国防戦士」として育てればよかったのではと言いたくもなります。人の子どもを使って、戦争だなどと、戦争ごっこみたいに言わないでほしいものです。しかし、脅された方が、脅しととらないで、本気だと受け取ったとき、「本当の戦争」になるのです。そういうことがわかっていないようです。政治、軍事をもてあそんではいけません。
▶【衆院選・兵庫8区】 田中康夫候補 「廃炉こそ新しい公共事業」
【「廃炉こそ新しい公共事業」「TPPは羊の皮を被った狼」「増税して景気浮揚した国はない」……一人となっても正論を説き続ける政治家を、“国防軍”と“福祉切り捨て勢力”に支援された官僚出身の候補者で潰そうとしているのが、衆院兵庫8区(尼崎市)だ】
▶2012衆院選:候補者アンケート分析(その1) 各党内、目立つ不一致
▶東京都知事選:法定ビラ戸別配布の70歳を逮捕
【三鷹市内の団地で法定ビラを戸別配布したとして、住民が70歳の男を取り押さえ、三鷹署が住居侵入容疑で現行犯逮捕】
【団地の各戸のドアの郵便受けにビラを入れて回っていたところ、住民に取り押さえられたという。団地には「住人以外立ち入り禁止」と張り紙があったという。男は氏名などを黙秘。住民が肩を痛めたと訴えたため10日に傷害容疑も付けて送検】
ひどい状況になってきました。しかも、「住民が肩を痛めたと訴えたため10日に傷害容疑も付けて」です。それもこれも、【04年にマンションの郵便受けに共産党のビラを配布したとして住居侵入容疑で僧侶が逮捕され、1審・東京地裁は無罪としたが、最高裁で有罪が確定】が大きく作用しています。
衆院選といっしょに最高裁判事の国民審査が行われます。