安倍晋三と橋下徹は、この国をどこへ引っ張っていこうとしているのか
【「美しい過去」「名誉」執着とも映り 街頭で語らない憲法改正、国防軍】との見出しで毎日新聞12月13日付夕刊の特集ワイドの記事です。
本通信353号M・Tさんの◇投稿「自民改憲案は国民主権を殺す 国民に“大政奉還”を要求 総選挙は改憲勢力との戦い」は、「石原慎太郎が言っている、『憲法が日本をダメにした。』とは、『国民主権』が間違っていたと言う意味であり、自民党の選挙ポスターにある『日本を取り戻す』とは、「国民から日本を取り戻す」と言う意味で理解すべき、重要な問題」であると指摘しています。
◇本通信355号でも、どこから取り戻すのかと書きました。「日本を取り戻す」と大書きされたポスターが街のあちこちに貼られています。そう、いったい何から取り戻すのかという肝心のことが書かれていません。イメージだけなのです。そんなことに疑問を呈する記事なのです。
【「安倍さんは、あったかもしれない日本を取り戻したい。失われた10年、20年を取り戻す。時間を巻き戻したい、と言っているように聞こえます。未来志向ではなく、美しい過去だけを見ているような印象さえ受ける」
こう語るのは07年に、論文「『丸山眞男』をひっぱたきたい 31歳フリーター。希望は、戦争。」を発表したフリーライターの赤木智弘さん(37)】
【赤木氏は「景気が良くならないまま、年齢が上がった分だけ私たちの状況は悪化している」と話す。「バブル崩壊後に社会に出ざるを得なかった私たちの世代には『置いて行かれた』という思いが強い。何年か早く生まれていたらと思ってしまう。だから『取り戻す』という言葉に、胸の奥底を揺さぶられてしまう」】と。
【JR八王子駅前で、安倍さんは景気対策の次に教育論を展開した。教育の荒廃を叫び、いじめ防止基本法を訴えるとまた拍手が起こった。一方、友党・公明党への配慮なのか、政権公約に掲げる憲法改正や国防軍については語らず、5年前の辞任や現在の健康状態にも言及しなかった。】
もう一つ、この記事の最初にありますが、「頑張った人が報われる、まっとうな経済を一緒に取り戻していこうじゃありませんか」と安倍は言います。このフレーズ、小泉・竹中ら市場原理主義者がよく使っていました。「頑張った人が報われる」──正しいです。しかし、その意図するところは素直ではありません。そのことを、私たちは小泉改革という名の下で十二分に身をもって知っていたはずです。「格差」という代償を払って。二度目までは悲劇として登場するでしょう。これまで以上の代償を支払わなければならないのは私たちということは、明白です。
【9月の自民党総裁選前にTBS番組で河野洋平元衆院議長が「自民党という政党はずいぶん幅の狭い政党になった。保守のなかの右翼だけになった」と嘆いたのを思い出した。選挙後、私たちが<取り戻す>のは何だろうか】と、この記事の記者は結びます。
▶特集ワイド:リーダーを読む/3 自民党 安倍晋三総裁 何を<取り戻す>のか
橋下徹代表代行 <スネ夫>的な変節
日本を自分のシマにする
もう1本、先の安倍晋三の記事の1日前に、同特集ワイドで橋下を取り上げていました。題して「橋下徹代表代行 <スネ夫>的な変節」です。
【拍手とともに「橋下さん、頑張って!」と歓声も飛んだ。ごく普通の選挙風景。だが、どこか違和感がある】
【都内在住の30代の男性は「話がうまいからつい引き込まれる。でも原発は重要な争点では」と首をかしげた。そう、橋下さんは以前、脱原発を訴えていたはずだ。それに「代表代行」が主君で、「代表」が忠臣とは……この奇妙さは一体どこから来るのか】と。
そして、本記事の記者は、そのキーワードを探します。見つけたキーワードは、「スネ夫」。そして、次のように分析しています。
【維新の会の関係者は「結局、橋下さんは『スネ夫』なんですよ」とため息をついた】
【<スネ夫>。人気漫画「ドラえもん」の登場人物だ。ガキ大将のジャイアンの腰巾着で、巧みに保身を図る】
【スネ夫に例えられるのには理由がある。府知事就任前の著書「どうして君は友だちがいないのか」(07年)で、少年時代にいじめられた経験を告白し、「スネ夫的生き方のススメ」を述べているのだ】
【「すごく権限を持っていて、この人の意見や意志を尊重したほうが仕事がうまく運ぶと思われる人の力をうまく使うのです」「誰が強くて誰が弱いのかという力関係や上下関係を見極めることはとても重要」「強い人物を見極め、その人の動きを見ながら調整することは欠かせません」
スネ夫の言うことは実によく変節し、二枚舌も使う。ジャイアンの機嫌を取らねばならないからだ】
【大阪では知事や市長を務める大ジャイアンなのに、「大いくさ」の総選挙ではスネ夫に変節。トップはジャイアンだから、スネ夫は結果の責任を負わない。「賢い立場」(関係者)なのかもしれない】
昨日、家に帰ると、連れ合いが、「TVに石原と橋下が出ていたけど、ヤクザみたいな言い分」というのです。何かと聞くと「東京と大阪で互いにトップをはっていた」などと言っているというのです。そう、東京も大阪もこの二人にとっては“わがシマ“なのです。そう言えば、「代表」に「代表代行」と、なにやら、どこそこかの世界と同様です。そして、事もあろうに、日本全体を、自分のシマにしようと企んでいるのです。
【丸の内の演説。牛若丸は「日本の新しい将来に向かって、輝ける太陽を上げましょう」と締めくくった。「太陽の季節」の著者、石原さんを首相にしよう、と聞こえた。ジャイアンを持ち上げるスネ夫のように】
▶特集ワイド:リーダーを読む/2 日本維新の会 橋下徹代表代行 <スネ夫>的な変節
▶<野田首相>敦賀2号機「廃炉の見通し」
【野田佳彦首相は13日夜のTBS番組で、原子炉建屋直下に活断層がある可能性が高まった日本原子力発電敦賀原発2号機(福井県)について「そういうこと(廃炉)になっていく」との見通しを示した】
▶関西電力:原発なしなら関電値上げ幅2倍
【原発全11基を停止した場合、収入不足は7091億円に膨らみ、電気料金の値上げ幅は申請の2倍に拡大するとの試算をまとめた。関電は来年4月に家庭向け電気料金について平均11.88%、企業向けで平均19.23%の値上げを目指している。その前提条件が大飯原発2基(福井県おおい町)の稼働継続と高浜原発3、4号機(同高浜町)の再稼働だが、大飯原発は断層問題を抱え、高浜原発は稼働見通しも立っておらず、早くも再値上げを懸念する声が出始めている】
▶東通原発:規制委が断層調査を開始 重要施設の横を縦断
【東北電は4断層の地層のずれについて、いずれも地下水などが入り込んで地層が膨らむ「膨潤(ぼうじゅん)」が原因とし、「原子炉建屋の耐震設計上、考慮すべき活断層ではない」と主張。これに、専門家は「膨潤では、大きな断層のずれは説明できない」と疑問視している】
東通原発の調査団メンバー
島崎邦彦氏 原子力規制委員長代理。日本地震学会や地震予知連絡会の会長を歴任
粟田泰夫氏 産業技術総合研究所主任研究員。全国の活断層や長期的な活動度の評価を研究
金田平太郎氏 千葉大准教授。主に内陸や山岳地域の活断層を研究
熊木洋太氏 専修大教授、日本活断層学会理事。地震による地殻変動や活断層の調査に従事
佐藤比呂志氏 東京大教授。地質構造に基づく活断層の研究で古い断層の再活動を解明
▶東通原発:敷地内の地層変形「活断層と関連」…規制委
【島崎氏は会見で「東西方向に力が加わっているようにみえる。膨潤との考え方に賛成できない。活断層に関連した活動だ」と明言した。粟田泰夫・産業技術総合研究所主任研究員は「活断層か、それに伴う地震の可能性がある」と述べ、金田平太郎・千葉大准教授も「(膨潤説では)つじつまが合わない地形だ」と話した】
【熊木洋太・専修大教授と佐藤比呂志・東京大教授も膨潤説について「根拠が分からない」などとしながらも、「今日だけでは判断できない」(熊木教授)として、さらに詳細な調査が必要とした】
▶発信箱:ヒミツの原発「格付け」=青野由利
【アトランタに本部を置く米国の「原子力発電運転協会(INPO)」
79年のスリーマイル島原発事故をきっかけに電力業界が作った。訓練や企業間の情報交換に加え、安全性向上のために全米の原発の「格付け」を行ってきた】
【専門家や関係機関によれば、2年に1回程度、数週間かけて現地調査する。対象は設備や訓練、管理の状況など。評価は最優良の「1」から最低の「5」まで5段階。結果は経営者に直接伝える。外部にはヒミツだという】
【この評価が原発損害保険の料率に反映されるのだ。スリーマイル島事故以降に取り入れられた仕組みで、低ランクなのに放置すれば、保険料が膨れ上がり、経営が危うい】
何から何まで秘密、オープンにできないというところに原発―原子力の持ついかがわしさがあるということです。
▶放射性物質拡散試算:全16原発で誤り 入力ミスなど多数
【公表した全16原発の地図で誤りがあったことを明らかにし、計算し直した新たな地図を公表した。また、この問題で原子力規制庁は同日、森本英香(ひでか)次長ら3人を口頭での厳重注意処分とした】
▶拡散シミュレーションの結果に係る主な変更ポイント
規制庁のHP から
▶原発事故:避難開始基準、厳格化 原子力規制委で大筋合意
▶原発事故:避難基準、厳格化 30キロ圏毎時500マイクロシーベルトで開始
毎日新聞(2012年12月14日)東京朝刊のみだしは上記です。
【原発事故時の住民の緊急避難基準について、原子力規制委員会の有識者会合は13日、原発から5キロ圏内の予防防護措置区域(PAZ)内は原子力緊急事態宣言時、その外側の30キロ圏内の緊急防護措置区域(UPZ)内は放射線量が毎時500マイクロシーベルトに達した時とすることで大筋合意した】
【ただ、この日の有識者会合では「数時間で放射線を計測し、避難範囲を特定するのは無理ではないか」との指摘も出た】
【炉心溶融の恐れがある場合など、原子力災害対策特別措置法第15条で原子力緊急事態が宣言される事態に陥れば、ただちに避難を開始する】
【国際原子力機関(IAEA)はUPZの緊急避難基準を毎時1000マイクロシーベルトとしているが、新基準はより厳しく設定】
基準を厳格化してもという気はするのです。そもそも事故を起こしてしまったら…。
それに、メルトダウンしたら、直ちにと――当たり前すぎますが、それを福島第一の時はしなかった…。そんな事故を起こしてしまったら取り返しのつかないものを“たかが電気”と引き換える価値などありません。
▶福島県大熊町:「仮の町」入居希望調査を実施へ…1月中
【全町避難が続いている福島県大熊町は13日、集団移住先となる町外コミュニティー(仮の町)について、全町民を対象に記名式の入居希望調査を来月中に行う方針を明らかにした。
福島県は災害公営住宅(復興住宅)を同県いわき市に250戸、郡山市に160戸、会津若松市に90戸を先行整備する予定】
▶2012衆院選:民自、原発論議低調 反発恐れ、再稼働可否触れず
【自民党の安倍晋三総裁は連日、各地で精力的に街頭演説をこなしているが、演説はデフレ対策、教育、外交政策などに集中。原発政策に触れることはほとんどない】
【再稼働論議が深まらないのは、民主、自民両党とも規制委が安全と判断した原発は電力需給バランスにかかわらず順次再稼働させる方針で一致するためだ。むしろ、再稼働の可否に踏み込むと規制委の独立性への介入と受け止められかねない。規制委の信頼が疑われれば、この夏、関西電力大飯原発(福井県おおい町)の再稼働を巡り高まった反対運動の再燃はおろか、慎重論が残る原発周辺自治体の反発も招く恐れがある。
原発の使用済み核燃料の処理方法についても、両党党首が演説で触れる機会はなかった。核のごみ問題は民主党政権が9月のエネルギー環境戦略で矛盾を抱え込んだ最大の要因だが、相変わらず事態打開に向けて国民に問おうという様子はうかがわれない】
【エネ環会議は法律に基づく組織ではない。政権が代われば廃止の公算が大きい】
▶12年末・この国を選ぶ:九州・山口候補者アンケ 核燃サイクル、自民7割「継続を」 他党は少数かゼロ 「脱原発」は疑問符
【毎日新聞が実施した九州・山口の候補者アンケートでは、原発の新増設問題とともに、原発再稼働や核燃料サイクル政策に関しても尋ねた。原発維持が前提となる核燃料サイクルについて、自民は40人のうち4分の3近い29人が「継続すべきだ」と回答。「やめるべきだ」が全員か過半数の他党と比べ際立った】
【また原発の新増設について、「推進すべきでない」が3分の1以下にとどまった自民候補の中には、鹿児島県内(5選挙区)の候補5人のうち、九州電力川内原発の増設計画がある3区の前職、宮路和明氏ら4人も含まれる。半面、国民新の3区の新人、野間健氏は「地元経済への影響」などを理由に「推進すべきだ」と答え、対立している】
▶1票の底流:衆院選・変わる有権者たち/下 普通の人「何か、おかしい」 息子2人・都内の会社員、反原発デモ参加
【大学は農学部。バンド活動に明け暮れ、首相が代わっても気付かなかった。09年の政権交代も流れてゆくニュースの一つに過ぎなかった】
【「レベル7」に引き上げた。一方で、電力不足を理由に別の原発を稼働させようとする動きが出始めた。通勤時、満員電車に揺られながら自問するようになった。何かおかしくないか──。】
【間もなく、福島県の小中学校で屋外活動が認められる被ばく線量の限度が年間「1ミリシーベルト」から「20ミリシーベルト」に緩和されたという新聞記事を読んだ。「発がんリスク」という活字と、息子たちの寝顔が重なった。「子供たちを危険にさらすものが社会に組み込まれていることは、やはりおかしい」】
本記事の記者が最後に書いているように、【政治はもう別世界ではない。永田町駅の出口は、日常とつながっている】と、自覚した人々が官邸前、国会前、霞が関へと足を運んでいるのです。冷え込みも厳しくなった今日も…。
▶共生の道を探して:「修羅」から「地人」へ/34 ある物理学者の選択 /福岡
【長崎県西海市大瀬戸町雪浦の物理学者、藤田祐幸さん(70)は言う】
【「臨界を起こしやすい高濃度のウラン溶液を扱う場所に、臨界を起こさないよう形状管理されていない装置がなぜあったのか。作業員たちは装置に質量制限の7倍ものウラン溶液を、なぜ放り込んでしまったのか。本当に必要だったのは、それらの背景を解明することだったはずです」】
【原子力安全委員会が設置した事故調も、わずか2カ月半の調査で年末に報告書を出した。その「結語にかえて」には、こう記されている】
【《臨界事故は、定められた作業基準を逸脱した条件で作業者が行った結果、生起したものである。従って、直接の原因は全て作業者の行為にあり、責められるべきは作業者の逸脱行為である》】
【つまり、大量被ばくした3人の作業員に責めを負わせて幕引きを図ったのだ】
【そもそも「粉末からの溶液化」は、発注者の旧動燃が行うはずだった。しかし「燃料加工は民間に」との国策で溶解槽の予算がつかず、JCOが行うことになった。均一化も手間を省きたい動燃が求め、95年からは、臨界が起きないよう細長く形状管理された「貯筒」という装置を転用して行われていた。制限を超える量を入れる違法な作業だが、辛うじて安全は保たれている状況だった】
【手順の逸脱や違法な作業の背景には、電力市場が一部自由化された90年代後半に、主力の軽水炉燃料加工の請負単価が大幅に切り下げられたためJCOが行った猛烈な合理化もあった】
【藤田さんは言う。
「JCOで起きたことは、福島の事故を経て斜陽化していく原子力産業の至る所で今後起こりうることです。あれだけの逸脱が事前に発覚しなかったように、チェックするのは至難でしょう」
中途半端に原発や核燃料サイクル事業を維持する怖さがそこにある】
新自由主義、市場原理主義と原発産業が結びつくとどうなるかという査証のひとつです。
▶上関原発建設計画:「国からの話はない」 柏原町長が議会答弁/山口
【上関町の柏原重海町長は12日、国が建設を認めないと表明している中国電力の上関原発計画について、国から「何ら話がない。予定なども示されていない」と明らかにした】
油断はできません。まして安倍自民党政権などができたら…。
▶記者の目:パロマレス事故の教訓=篠田航一(ベルリン支局)
【46年前にスペインで起きた放射能漏れ事故の現場を訪れた。南部アンダルシア州パロマレス村の上空で1966年1月17日、米軍爆撃機と空中給油機が衝突し、爆撃機に積まれた核兵器の水素爆弾が落下した「パロマレス事故」】「検証・大震災」(11月22日付朝刊)の記事を本通信でも報告しました。
【米国が進めた「情報統制」の影響もあり、プルトニウムの正確な量など今なお不明な部分も多い。除染も不十分だったため、水爆の墜落現場付近からは現在も放射能が検出】
【村の海岸付近で出会った60代の女性は「米国やスペイン政府は今でも憎い。しかし小さな村の住民は家族みたいなもの。皆が傷付かないため、黙ることにしている」と話す】
【事故後の炉心溶融という事実を「積極的に否定する」経済産業省原子力安全・保安院(当時)の姿勢など、政府・東電側が情報開示面で多くの批判を受けた。「パロマレスは当時、独裁政権下で情報統制されていたが、今の日本は情報が十分にある。フクシマの未来のため、除染を急いでほしい」とのカイセド市長の言葉に、日本はどこまで胸を張れるだろうか】
▶トンネル点検:長野の国道「鳥居トンネル」 ボルト穴なし
【長野県塩尻市-木祖村間の国道19号「鳥居トンネル」(全長1738メートル)のつり天井について、つり金具1本と天井最上部の接合部にそもそもアンカーボルトの穴がなかったことが、所管する国土交通省中部地方整備局への取材で分かった。建設時か補修時のミスとみられ、目視でも確認できる状態なのに2年に1回の定期点検でも見落としていた。定期点検の信頼性に関わる問題】
▶笹子トンネル:下りも不具合670カ所 緊急点検で突出
重力に逆らっているといえば、原子炉(沸騰水型)の制御棒も、重力に逆らって原子炉の底から差し込む構造になっています。こういう構造自体がそもそも自然に逆らっていると思うのです。私たちは「重力のある」世界・空間で生きているのだということを忘れてはなりません。
そして、JCOの臨界事故の背景について語る長崎在住の物理学者・◇藤田祐幸さんの指摘もそうです。
▶成田空港:A滑走路、初の全面運用
【未買収地の影響で1978年の開港以来、着陸時に使用を一部制限していたA滑走路(4000メートル)の初の全面運用を始めた】
1960年代半ばから始まった三里塚闘争(成田空港建設反対)、初めて北総台地に立った時のこと、夕暮れ時になり、丘の上に赤色灯を点滅させている機動隊の装甲車・バスがずらっと並んでいる風景を時々思い出します。竹藪、木々が茂る山、畑が続く農道──、今思うと懐かしい日本の風景が当時そこに展開されていました。それからもう少しで50年になろうとしています。
▼投 稿
日本国憲法という「外套」
日本国憲法という、役人専用の外套があります。表は「国民主権」で裏が「天皇主権」という柄のリバーシブルのコートです。今は、表の柄で着ています。仕事をするのに絶対必要なので、いったん着ると脱げない外套です。しかも、自分では着られません、他人に着せてもらうのです。表柄を、アメリカに着せてもらったのは、1946年11月3日でした。そして、これを着て表に出られるようになったのは、翌年(1947年)の5月3日でした。
実は、1946年11月3日前までは、裏柄を着ていたのです。これを着たのは古くて、薩摩と長州のお偉いさんと英国に着せていただいたのですが、それは、1889年2月11日でした。表に出られるようになったのは、同じ年の11月29日です。
今度の総選挙で、この外套の表裏の柄が問題になっています。しかし、着ている役人にとってみればどちらでもいいのです。要は仕事がしやすくなるように、国民を沈黙させられればいいのです。本当は表裏どちらでもいいのです。
ただ、国民に、この外套を脱がされないように、しっかり着込むのです。
なぜなら、本当は国民の外套だからです。